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2009年3月12日 (木)

時事通信のニュースタイトルはマスメディアの自殺行為だ

マスメディアの恣意的報道、偏向性の危険は今までにも何度も指摘したことだが、昨日、目にしたニュースタイトルもひどい。

無利子国債・政府紙幣の検討表明=首相「いいことだ」(時事通信)

この記事をリンクするYahoo!JAPANの見出しに至っては
首相 政府紙幣の検討を表明】となっている。

Yahoo!JAPANの見出しだけ見ると「えっ!政府紙幣発行の検討に入ったのか!」と驚いてしまった。が、本文を読んでみるとなんのことはない。
自民党有志議員「政府紙幣・無利子国債の発行を検討する議員連盟」が、政府紙幣発行や利子が付かない代わりに相続税がかからない「無利子非課税国債」の発行を提言したことを受けて

「100年に1度(の経済危機)ということでいろいろなアイデアが出てくる。いいことだと思う」

と発言したにすぎない。
つまり麻生総理が「いいことだ」と言っているのは、「いろいろなアイデアが出てくる」ことであって、「政府紙幣発行がいいことだ」と言っているわけではない。
ニュースを配信する人間達は、もちろん、こんなことは承知している。
承知しているうえで、誤解を招くような、ただ読者の関心を惹きつける為だけに、上記のようなタイトルや見出しをつけている。

実に、低俗だ。
このような行為を低俗と言わずして何と言うのか。

そして、こうした低俗な報道姿勢が庶民レベルにも波及し悪影響をもたらす。
昨今のブログのタイトルのつけ方をみていると、興味本位のタイトルばかり。マスメディアに擬したものばかりである。読んでほしいと思う気持ちはわからなくもないが、かえって軽薄さを感じてしまうのは私だけではないと思う。
TVドラマの予告編のやり方と同じ路線上にあることを思うと、国民の多くが報道と娯楽を混同していることは容易に想像できる。

さらに、時事通信のニュース本文では上記の発言を紹介して「検討対象とする意向を明らかにした」と続けているが、この文脈もあやしいものだ。
というのは、麻生総理の考えの中に以前から、相続税免除等の無利子非課税国債の発行に類するものがあったのは事実のようであるが、政府紙幣については発行する検討が必要だと考えているかどうかは全く不明であるからだ。
他のニュースを加えて類推する範囲では、麻生総理が今回の議連からの提言の中で興味を示しているのは「無利子非課税国債」であって「政府紙幣」でない可能性が極めて高いと判断するのが妥当だと、私は思う。

しかし、マスメディアの報道は所詮は興味本位だ。
メディアにいる人間達に真剣に報道するつもりがあるのなら、こんなニュースタイトルや見出しをつけるメディア自身の自殺行為は自粛すべきだと、強く訴えておきたい。

【関連記事】
無利子国債・政府紙幣の検討表明=首相「いいことだ」(時事通信)
無利子国債発行などを首相に提言=自民議連(ロイター)
無利子国債発行を検討…首相、与党議連の提言受けて(読売新聞)

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2008年5月28日 (水)

ザ・スクープ(鳥越俊太郎)にみるメディア報道の実態

5月18日(日)に放送された「ザ・スクープSPECIAL」の報道内容の真偽が物議を醸している。
この日のスペシャル番組では第一部で北九州八幡東病院での看護師による認知症高齢者への虐待疑惑事件を取り上げ、第二部として鳥越俊太郎氏が在日米軍再編の真の狙いは何かという視点で緊急現地取材と銘打って嘉手納基地のF15E戦闘機の配備についてスクープとして報道した。

公式Webサイトでは映像版権等の事情があり配信を行わないとしているので元映像を確認することができないが、産経新聞ニュースのコラム欄で段潮匡人氏が鳥越氏の以下の発言を引用している。
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ミサイルを8発積んでるんですけど全部、空対空なんです(中略)空中戦しかないんです。ということは日本でいま考えて空中戦をするような現実にあるかというと、中国も来ないでしょうし、北朝鮮だって、そんな立派なもの持ってないし、F15って結局何のためにあるかって言うと、アフガニスタンだとかイラクとか、そして将来のイランのためにあるんだ。そう考えると(中略)米軍って日本の安全のためにあるのかしらという疑問が頭の中をかすめる...
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この発言が事実に基づいて考察されたものかどうかは断氏のコラム【スクープと称した勘違い】にも書かれているし、関心のある方は各人で確認していただきたいが、「総力検証」と銘打って派手に宣伝するほどの立派な検証などできていないということははっきりと言えるだろう。
鳥越氏がこうした事実誤認報道の指摘を受けるのは、今回が初めてではない。
鳥越俊太郎氏に限ったわけではないが、それなりに名の通ったキャスターとかジャーナリストと言われている人であっても、確固たる裏付データがないまま、マスメディアで発言をすることが、多々ある。

いかに一部のメディア報道がいいかげんであるのか。
しかし私達、多くの視聴者は、いいかげんな報道としっかりとした報道を見極める基準をもっていないのが悲しい現実だ。
しかし、ある程度は判断する基準を有することができると私は思う。
それは、そうした報道が「何らかの意図をもっているかどうか」という点だ。
今回の「ザ・スクープSP」も、報道したい「結論まずありき」で、その意図に沿った事実を収集しようと取材をしたであろうことは容易に想像がつく。サイトの説明からみても、在日米軍は日本の安全保障のために動いているのかという点に疑問を投げかけたかったのだろう。
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在日米軍経費の日本側負担(思いやり予算)に関する現行日米特別協定が3月31日に期限切れに。(4月25日国会で承認)高村外相は「日米関係、アジア太平洋地域の平和と安定に重要な意義を有する」と承認を求めていたが、野党から「説明のつかない負担がある」として反対論が浮上した..(Webサイトより).
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こうした偏向した取材姿勢が、誤報や冤罪報道、ひいてはメディア報道被害を生む悪の温床となる。
これは、メディア報道だけの話ではない。
私達一人一人の生命の問題でもある。
人と人との対話にあっても、世間の事象を判断するうえでも、偏った色メガネをかけることなく、物事の本質を素直に見抜いていく自分でありたい。
そんなことを感じる出来事である。

【関連リンク】
産経新聞ニュース コラム【断 潮匡人】スクープと称した勘違い
テレビ朝日 ザ・スクープ オフィシャルサイト

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