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2008年10月 8日 (水)

こんにゃくゼリー窒息死事故の本質は何か

こんにゃくゼリー製造最大手のマンナンライフは今月7日、7月に1歳の男児が窒息死した同社商品・ミニカップ入りこんにゃくゼリー「蒟蒻(こんにゃく)畑」の製造中止を決め、卸売各社に通知した旨が報道されている。

この措置の理由としてマンナンライフは「警告マークを大きくするなど行政(農林水産省)に要請された改善策に応じられないため」としている。また「商品が危険だから製造中止にするわけではない」ということで自主回収はしないのコメントも報じられている。

個人のブログ等をみてみると農林水産省の指導に対して概ね批判的、マンナンライフに同情的な意見が主流のようなので、一言書いておきたいと思う。
私個人の意見としては、農林水産省の指導も、マンナンライフの措置も妥当であったと感じている。これは2007年5月に死亡事故が公表された際に当ブログでも指摘してきた通りである。
→《こんにゃくゼリーで窒息死の報道にどう対応?(2007/5/23付ブログ)

さらにいえば今回のマンナンライフ社の姿勢には少なからずの不満がある。
最初の事故からは相当の時間が経過しており、遅きに逸した感が否めない。
同社コメントからは「本意ではないが行政のせいで製造中止する」「我々メーカーや商品自体に何の問題があるのか」という不承不承対応したという姿勢が明白だ。だから事故になった当該商品一品のみしか製造中止にしないのだろう。本当に納得しないのなら対応しなければいい。「弱みを見せたくない、自社の強気の姿勢を崩したくないが、今後何かあったら面倒だ」としたらこんな対応になるだろうというような勘ぐりも出てくる。
死亡した遺族の方々は、激しい怒りを感じているに違いない。

確かに製造中止すればそれでいいのかという問題もある。
子供が喉に詰まらせないのは保護者の責任だというもっともらしい意見も多い。
しかしこんにゃくゼリーは、元々存在する食品形態ではない。
こんにゃくメーカーが自社が取り扱う原材料を使った新商品が開発できないかと考えて、市場に出してきた独自商品である。
また、死亡事故で亡くなったのは子供だけではない。高齢者もこんにゃくゼリーを喉に詰まらせて死んでいる。
これは自己責任だと言って片付けてしまって良い問題だろうか。

他のブログ等での発言を見ていて気になるのは、どうも一面的にしか物事を見ない人が増えているのではという危惧だ。
たとえば「喉に詰まらせて死亡している食品は他にもあるのに『こんにゃくゼリー』だけが危険視されている」という論調がある。例として取り上げている食品が「もち」である共通点があり、だれか最初に記述したコメントに多くの人が同調したのかもしれない。
確かに餅を食べて死亡する人も後を絶たない。その意味では餅製造業者への喚起を促す必要があるかもしれない。
しかし、大きく異なる点がある。
それはこんにゃくゼリーには、類似した大きなゼリーという商品市場があることだ。こんにゃくゼリーはこのゼリー市場の一部ともいえる。この元々の「ゼリー」の食べ方として、あまり噛まないで呑み込むシーンが多くあるという状況が存在している点が大きく違う点である。
元々存在する「ゼリー」と同じような食べ方をして死亡するという悲劇が生まれているという状況を正確に認識しなければならない。事実、私の家族も普通のゼリーだと思って「こんにゃくゼリー」を買ってきたことがある。こんにゃくゼリーを呑み込んで食べると子供だけではなく大人も窒息する危険があるということを知らない人も多い。
そして、問題なのは一度喉に詰まってしまうと水を飲んだり、逆さにしても排出しにくいという点も挙がられている。
事件の記憶は簡単に風化する。何らかの形で商品購入時の注意喚起を行なうべきという指摘にはそれなりの妥当性があるのではないか。
もちを喉に詰まらせるのとは状況が明らかに違うことをよく理解すべきだろう。

厚生労働省は「製造を中止しろ」と要請しているのではない。
一般の「ゼリー」と違って、「こんにゃくゼリーは噛まないで呑み込むと喉に詰まらせて死亡する危険がある」ということをもっと購入しようとする一般消費者にわかるように告知してほしいという趣旨である。
他のブログ等での発言ではこの点を勘違いしている者さえいる。

製造者の立場としてすべきことは
①消費者に「正しい食べ方をしないと死亡に至る危険がある」ことをはっきりとわかる形で告知する
②消費者がメーカー側が想定していない食べ方をしても危険が発生しないように商品を改良する
という処置を講じる必要があると私は感じている。
マンナンライフと事件にあった購入者のどちらに責任があるのか、というような問題ではないと私は思う。
それぞれがそれぞれの立場でよりよき関係を目指して努力すべきではないか。確かに「行なう必要はない」という意見もあるだろう。それはそれとして一つの意見だ。だから厚生労働省も強制力のない「要請」というお願いで留めているのだと思う。

私も食品製造販売に関わる者の一人として自戒を込めて申し上げたい。
食に関わるというのとは、生死に関わるということだ。
製造者自身の目の前で、目の届く限られた範囲で食べていただける環境なら、まだいい。
しかし流通にのせて、より多くの消費者の皆様に食べていただくということは、予測不可能な事態が発生するという事業選択を行なったということだ。
そうした不測の事態が発生した時には、その当事者として被害を被った消費者の立場に立って、最善の措置を、迅速に、最大限の誠意をもって対処するしかない。

それができないのであれば、小さく、目の届く範囲で商売することだ。
マンナンライフの今回の対応は、昨今の食の安全の問題と同根である。
今回の対処についても、厚生労働省やマンナンライフが「事故を起こした消費者の自己責任である」という発言をしたとしたら、それはそれで大きな問題になっているだろう。
多くの人達の利害が絡み、関係する人の立場が複雑になっている現代においては、大多数の賛同を得る対応が見つからないことも多くなってきている。
どのような処置、態度をとっても賛否は激しく巻き起こるだろう。

私たち庶民は賢明な目で、物事の本質を見抜いていくことが求められている。

【関連リンク】
<こんにゃくゼリー>マンナンライフが製造中止(yahoo!毎日新聞ニュース)
こんにゃくゼリーで窒息死の報道にどう対応?(2007/5/23付ブログ)

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食の安全」カテゴリの記事

コメント

総論賛成、各論反対です。
「消費者の立場」っておっしゃいますが、その「消費者」だって一枚岩ではないでしょう。
現に、今回はマンナンライフを応援する声だって大きいのですから。

投稿: 通りすがり | 2008年10月 8日 (水) 13時02分

子供が詰まらせるのは、親の責任です。
親なのに、自分が管理出来ないのを棚にあげて、
食品のせいにするのは、あり得ません。
そもそも、2歳に満たない子供がいて、
危険を承知で買う理由がわかりません。
消費者に分からない事なら、同情の余地も
ありますが、これに関しては無いと思います。

投稿: 自己責任 | 2008年10月10日 (金) 05時43分

ブログ開設者のHATAです。
[通りすがり]さん、[自己責任]さんのように意見が活発に投稿することが大切なのだと思います。違う視点から夫々の見解が出ることで少しでも施策と対処が変わっていくことが必要だと考えています。
たしかにどんな対処を講じても賛否両論が浮き出すことは間違いがないでしょう。もし今回マンナンや厚労省が「これらの事故は(部分的にも)消費者の自己責任です」と主張したとしたらマスメディアを先頭に大バッシングが巻き起こったことは想像に難くありません。
大切なのは違う意見に反発したり弾劾するのではなく、それぞれが自分の立場で、そして自分以外の立場にも我が身をおいて物事を受け止めて、率直な意見を交換すること、自身の思索を深めること、そして行動することではないかと思います。
さらに意見が活発に交わされれば望外の喜びです。

投稿: HATAさんより | 2008年10月10日 (金) 10時00分

10/10アップの自己責任さんの意見に。
自己責任さんは実際にドラックストアやスーパーで売られているこんにゃくゼリーを見て買ったことがありますか?「危険を承知で」買っているなんて全国各地で発生している事故の当事者でもないあなたにどうしてわかるのでしょう?(それとも当事者なのでしょうか?)店頭の商品を実際にみたことがあればこんな軽率な意見は言えないと思います。こんにゃくをつかってるかどうか、パッケージを見ただけでは普通のゼリーと見分けがつかないこんにゃくゼリーがいかに多いことか!実際私も、違いがわからず買ってしまい家族に怒られて食べずにゴミに出した経験があるのでよくわかります。それも昔の話ではなく今年春頃の出来事です。厚生労働省の指導は当然だと私は思います。
HATAさんが書かれているように、他の人を批判をするのではなく自分の意見を主張することを身につけなかったら何のために意見を言っているのかわからなくなると思います。

投稿: 4歳児の親 | 2008年10月10日 (金) 11時26分

今回は商品自体に大きな問題があるとは思えません。
しかし報告の不備などメーカーに問題はあったでしょう。
だからこそ今回のような対応になったのではないでしょうか?
なので不承不承対応したという姿勢が明白とは思えません。

そしてゼリーでも誤嚥事故は起きているそうです。
韓国ではミニカップゼリーで死亡事故がありミニカップゼリー自体を規制しようと動いているようです。
これは国民消費者センターにのっていた幼児の嚥下の仕組みから考えても妥当な対応だと思います。
蒟蒻ゼリーに限らず噛まずに飲み込んで食べれば窒息の危険性があるのだと思います。
07年の記事にしても対処は他の記事では掃除機での対処となっている場合もあり
それは正しい対処方法とは言えないようです。
7歳ですがどのような状況で詰まったかもわかりません。
一部では口に入れたまま遊んでいたとも言われていますし。

警告表示は現在でも妥当だと思います。
飲食コンサルタントの目線との事なので
農水省もメーカーも動いてないと批判されない為に
行動を起こさないといけないというのは理解できますが。
想定外の食べ方についてはやはりこれも警告表示で事足りると思います。
今回の事故は凍らせてです。これはどんな対処をしても防ぎようが無いです。
そもそも子供に与えるものではないですし。
凍らせた時点で蒟蒻ゼリーの特性からの事故と判断する事は難しいでしょう。
企業としては動かないと駄目でしょうが。

今回批判が多いのは提案の整合性が取れて無いからでしょう。
そして販売禁止の検証まですると被害者の手前でしょうが発言しているようですし
バランスの取れていない行動に大多数の賛同が得られにくくなっている現在において
大多数の人々から疑問が投げかけられているのでしょう。
そのせいで被害者まで叩かれて議員達の罪は重いと思います。
被害者感情は理解できますがそれにそのまま流されてしまう議員達に疑問です。
これが誤嚥の危険のある製品を洗い出し警告表示などの規制を検討するだったら
ここまで批判される事も無かったと思います。

投稿: 議員が元凶 | 2008年10月17日 (金) 21時08分

>こんにゃくをつかってるかどうか、パッケージを見ただけでは普通のゼリーと見分けがつかないこんにゃくゼリーがいかに多いことか!

少なくとも賢い消費者たろうとする者であれば、パッケージだけでなく、材料欄も見るべきで、それをしなかった消費者が迂闊だったのです。
「○○入り」とパッケージに謳っているのに、材料欄には記載がない「嘘つき商品」が出回っているのですから…。

まして、マンナンライフの蒟蒻ゼリーは「蒟蒻入り」とテレビコマーシャルでも当初から宣伝されています。また、蒟蒻ゼリーの危険性はかれこれ10年前から言われているのです。

私の職場は福祉施設ですが、危険性を承知の上で蒟蒻ゼリーを買っています。子ども・老人に出す時には皿に盛って細切れに切って食べてもらっています。思うに、消費者の中には「考えなし」か「想像力が働かない」方々が多いのでしょうね。

家庭にシュレッダーが出回って、子どもが指を削る事故が話題になった時のこと。

シュレッダーの紙を入れる部分には大抵警告文が目立つように貼ってあるのですが、それすら気にせずに「だって、気がつかなかったもん」と宣う人が身近におりました。私の妹です。

投稿: はんぞ~~~ | 2009年3月 4日 (水) 08時48分

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これは明らかに行き過ぎだ。 野田聖子消費者行政担当相、兵庫県の男児がこんにゃくゼリーをのどに詰まらせて死亡したことを受け、販売禁止措置を農林水産省に働き掛けるかどうか検討中らしい。 こんにゃくゼリー、これまで何度か死亡事故の報道も大きく流され、いまやお年寄りや小さい子供が食べると危険というのは、半ば... [続きを読む]

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